フアイアについて調べている

中国の抗がん新薬「フアイア(Huaier)」は可能性がありそうな気がする

【日本臨床腫瘍学会発表】がん免疫療法に関する注意喚起について

「がん免疫療法」という言葉のみが一人歩きして、公的な保険適用療法ではない、怪しい民間療法に高額な負担を費やしている人があとをたたない。このことに警鐘をならすために2019年5月30日、公益社団法人日本臨床腫瘍学会は「がん免疫療法に関する注意喚起について 」という文書を発表した。原文はPDFでウェブサイトに掲載されているので、啓発のためにここに全文を転載させていただく。

 (以下転載)

 このたび、本庶佑先生のノーベル生理学・医学賞の受賞は、がん患者さんは元より、一般市民の皆さまにも、大きな希望をもたらしたことと思います。

 がん免疫療法は、今後のがん治療の中心となっていく可能性があります。一方で、がん免疫療法には、さまざまな誤解があり、一般市民の皆様にとっても、また医療関係者に対しても、正しい情報が伝わっているとは言い難い状況があると思います。そのため公益社団法人日本臨床腫瘍学会では「がん免疫療法ガイドライン」を改訂し医療関係者に適正な情報を提供しました。これにあわせて、がん患者さんや一般市民の皆様にも注意していただきたい点をお知らせしたいと思います。

 がん免疫療法と呼ばれるものの中には、患者さんの免疫細胞を利用した免疫細胞療法と呼ばれるものや、がんワクチン、また、本庶先生も開発に携わった免疫チェックポイント阻害薬など、さまざまな療法があります。これまで免疫療法は、長年研究されてきましたが、良い成果が得られず、保険適用になるものがありませんでした。がんの治療法が有効であるかは、基礎的実験結果のみだけではなく、臨床試験といって、患者さんに実際に投与され、効果が証明されなければなりません。患者さんに対して、臨床試験を行い有効とされ、特に保険適用になるまでには、厳密な審査を受ける必要があり、国に届け出を行って施行される治験を経ないとなりません。このような厳密な審査を経て有効性が証明された治療法のみが、保険適用になります。

 現在、数ある免疫療法の中で、きちんとした治験で有効性が確認され、日本で保険適用になっているがん免疫療法は、免疫チェックポイント阻害薬BCG(尿路上皮癌)のみです。免疫チェックポイント阻害薬は、現在、6剤が承認されていますが、すべてのがんに効くわけではなく、効果が期待できるがんの種類は限られています。また、免疫チェックポイント阻害薬には、特有の副作用があり、時に重篤となります。したがって、免疫チェックポイント阻害薬を、患者さんにより良い効果をもたらし、かつ安全に使用するには、抗がん剤専門の医師が決められた用法・用量を用いること、副作用が出たときには適切に対応することが必須 です。

 最近、効果や安全性が証明されず保険でも承認されていない免疫細胞療法やがんワクチン療法が、一部のクリニックなどで高額な値段で患者さんに投与されている事例を多く見かけます。これらの治療法は、効果が証明されていないだけでなく、安全性も確かなものではなく、2019年4月8日に発刊された「がん免疫療法ガイドライン改訂第 2 版」(日本臨床腫瘍学会編)でも推奨をしておりません。効果や安全性が証明されておらず、承認されていない治療法は、本来であれば、臨床試験として行われるべきであり、実地医療として行われるべきものではありません。しかも、臨床研究以外でこれらの未承認の免役療法を受けることにより、高額な費用を徴収される、さらには、標準治療や、先進的な医療(治験や臨床試験)を受ける機会も奪われてしまうことになり、大きな問題であると考えます。

 また、免疫チェックポイント阻害薬を個人輸入にて薬剤を入手し、免疫チェックポイント 阻害薬の投与と免疫細胞療法を併用して行うクリニックも見られます。こうしたクリニックでは、副作用に十分対処できないために患者さんが死亡した例も報告されております(2016 年 7 月 13 日「がん新治療薬適応外投与で副作用死亡例も」NHK ニュース)。適正でない使い方 をすると、効果がないばかりか、副作用で苦しむなど大きな不利益を受けることもありますので、注意が必要です。がん免疫療法による治療を受けようとする患者さんは、以下の点について留意し、慎重に対応され、不確かな情報に惑わされ不利益を受けることのないようにしていただきたいと思 います。

1. 免疫チェックポイント阻害薬の保険が適用されている疾患は限られています。

「保険が適用されている」ということは、患者さんを対象にした臨床試験で効果があることが確認され、薬として使用することが認められているということです。保険適用外で使用する場合は、研究施設で行われている臨床試験として使用するか、もしくは、施設の倫理審査委員会などの承認を得て使用するようにしてください。

2. 免疫チェックポイント阻害薬の治療は、当学会が認定するがん薬物療法専門医 (以下,専門医)のような、当該のがんの化学療法及び副作用発現時の対応に十分な 知識と経験を持つ医師がいて、入院などの設備の整った医療機関で受けてください。

1) 専門医による治療を受けてください

免疫チェックポイント阻害薬は、効果を最大限に発揮しつつ、安全に使用するために、 用法・用量が決められています。治療は、抗がん剤治療の知識や経験を持つ専門医が行 う必要があります。

2) 緊急時の対応ができる設備の整った医療機関で受けてください

免疫チェックポイント阻害薬により、頻度は多くありませんが、以下のような重篤な副 作用が起きることがあり、命にかかわる可能性もあります。したがって治療は、副作用 や緊急時に適切に対応できる設備が整った医療機関で受ける必要があります。

・しばしば認められ、重篤なもの:間質性肺炎(10 人に 1 人くらい)

・まれに認められ、重篤になる可能性があるもの:劇症 I 型糖尿病、自己免疫性腸炎、 重症筋無力症など

3. 保険適用にない自由診療で行っている免疫細胞療法やがんワクチン療法などを受 けようとする際には、慎重に対応するようにしてください。

保険適用にないこれらの治療法は、効果や安全性が確認されておらず、標準治療にもなっ ていません。これらの治療法を受けようとされる場合には、その選択をする前に公的制度に 基づく臨床試験、治験などの研究段階の医療に熟知した医師にセカンドオピニオンを求める ことをお勧めします。

 セカンドオピニオンを求める医師がわからない場合には、ご自分の担当医やがん診療連携 拠点病院などに設置されているがん相談支援センターにご相談ください。

参考:国立がん研究センターがん情報サービス 免疫療法 もっと詳しく知りたい方へ https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/immunotherapy/immu02.html

(転載ここまで)